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For All We Know

by 綾戸智恵

ストリーミング配信がスタートした1stアルバム「For All We Know」。綾戸智恵本人による曲解説と故内田修先生の素敵な寄稿文です。(共に1998年6月21日リリースのアルバム内ライナーノーツより)

1. I Only Have Eyes For You (Al Dubin, Harry Warren)

大好きなテンポ、ええテンポです。オープニングからイェ~ですわ。

2. I Can’t Stop Loving You (Don Gibson)

レイ・チャールズやプレスリーでヒットしました。私が歌うとこんなんです。

3. Guess Who I Saw Today (Murry Grand, Elisse Boyd)

こわーい歌、最初はやんわりと、でもだんだんと、え!て感じ。エンディングで”You”といわれて、ガガガガ~とピアノが鳴る。浮気の現場を見てしまって嫁はんに「今日見たあの男は、あんたや!」と言われた男が「しもた~!」と言ってるように聞こえまへんか?ミッキー、実に生々しい!

4. Just One Of Those Things (Cole Porter)

Here's hopingのところが好きです。マイナーとメジャーと両方歌えるのもええなぁ。トコちゃん、チンさん、あんたらなんでカッコええの?教えて~。

5. Bridge Over Troubled Water (Paul Simon)

ゴスペル独特の3拍子です。サイモンとガーファンクルの歌ですけど、もうワテのもんじゃと思ってます。painを歌うとき、ほんまに体じゅうpainになるよう。でもこの曲、今の私たちにはとても実感できる内容やと思います。こんな時こそみんなで橋かけてや!ほな赤信号でも怖ないで。

6. Angel Eyes (Earl Brent, Matt Dennis)

いっぺん歌ってみたいと思ってました。なにしろサビがかっこええでしょ!キーは少し低いんですけどやっぱりDmですよ。ドワァ~ン Try to~と歌いたかったんです。Emじゃカイ~ンTry to~て感じかな。

ふ・し・ぎ。

7. Hallelujah, I Love Him So (Ray Charles)

これもレイ・チャールズの歌です。内容は私の理想!オイ コーヒー!といえば、お気に入りのカップにコーヒー入れて”ハニー”と、持ってきてくれる。良すぎるよなぁ。でも、こんな彼だと3日で飽きそう!

8. One For My Baby (Johnny Mercer, Harold Arlen)

名曲、難曲、究極。

待っても来ない恋人のぶんまでオーダーして、カウンターで・・・。あと15分で夜中の3時、もう店も閉まるゆうのに、またたつき合いのいいバーテンさん、男の背中が見えそう!シナトラはカッコよすぎる男の歌やけど私も歌うで、あんたのためにな。絶対来るよ彼女は、でもOh!No~。

9. Oleo (Sonny Rollins)

トコちゃんカッコイイーィ。ユニゾンのところドラムがチーチキだけっちゅうのがええね!ピタッと合うんやんか。ドラム・ソロのサビ・パート、シュッと、ピアニシモになるのもええね!それにチンさんランニング・ソロ!ギャー、オレオッ!

10. In A Mellow Tone (Milt Gabler, Duke Ellington)

ツトムちゃんとDuo、ドキドキ!ほんまにメロートーンです。思わず「あんたメローね」と言ってしまった。「オーイエー」返事がそのままレコーディング。エンジニアさん、ええ仕事してますね。だって、ぜんぶでMellow Toneですもん!先生!選曲Very Good!

11. What Are You Doing The Rest Of Your Life (Alan & Marilyn Bergman, Michel Legrand)

よすぎる歌詞。どうする?これからの人生。1つお願いがあるねんけど、まだ人生どうするか決めてなかったら私と一緒におってくれへん?全ての始まりも終わりも私と一緒に!季節も全部あなたと一緒に過ごしたい。私の明日も眠りも目覚めもあなたのまなざしの奥にある。私の人生とあなたの人生、共にあかん?歌っただけでも私は満足です。

そやトコちゃんのブラシがずーっと「そやそや、そやそや」と言ってるように聞こえます。チンさんも「うーん、そーや」。ミッキーただただ「オブツアーライフ、オブマァデーズ」。うつくしーい。

12. I Love Being Here With You (Peggy Lee, Bill Schluger)

私のお気に入りの歌です。もうすぐ2000年なので少し歌詞もさわってみました。I like~、I love~というような簡単な曲です。ダンスはやっぱり”フレッド・アステア”を”マイケル・ジャクソン”に、住むなら”マリブ”を”日間賀島”に、役者は”ケーリー・グラント”から”アル・パチーノ”、ボーカルは”エラ”から”シャーリー・ホーン”、ビッグバンドをこれからのアマチュアバンド”ムーンライト・JAZZ・オーケストラ(石川県)"に、でもラストコーラスは”ベイシーバンド”、ディランのハナにキスより、ミッキーの素敵なハナにキス!ブルースやっぱりゴキゲンやなあ!

13. When Sunny Gets Blue (Jack Segal, Marvin Fisher)

ギターの音、サニーがブルーやねんて感じよう出てますね。スタジオでうとてる時、私、まるで夕暮れのパリのバルコニーでうとてるみたいになってまいました。

14. For All We Know (Sam M. Lewis, J.Fred Coots)

あんまりやで、ミッキーすごい!

なんやこのピアノは、悲しいよ。明日のない2人、すべて知ってるけど、今日だけ一緒に・・・。こんなきついストーリー歌の世界だけでじゅうぶんです。このアルバムの中で一番困った。けど、こんなピアノ聞いたことないよ。だからこんなに悲しく歌ったこともないよ。

歌い終わってミッキーとミキサールームに戻ったらスタッフ全員泣いとったわ!むりない。アルバムタイトルはこれじゃ!

15. Heritage (Duke Ellington)

あまり有名じゃないのよ!それどころか知らん人の方が多いと思うよ。ジョージ・ウイリアムスがうとたました。お母さん、お父さん、おじいさん、おばあさんと家族に呼びかけるように。いつか歌いたいと10年ほど思っててやっとこのメンバーに出会い決心できました。スタッフ全員が家族のようにひとつになりこのアルバムもできました。ありがとう。

Special Thanks to :もちろん先生、プロデューサー伊藤さん、ミュージシャンとスタッフ一同(特にミッキー、譜面書いてくれてありがとう)、佐藤大介くん、江崎正通さん、日野容子さん、リハーサルの間家族の面倒みてくれた久米さん、リハーサルさせてくれたラブリーさん、江藤くん、高見重光さん、西原麻知子さん、ヤマハの山東さん、心のささえ、イサとママ・ユヅル、他にもおるけど書かれへん、みんなありがとう。

智恵さんを巡って

綾戸智恵(当時は芸名の綾戸智絵)という名を知るきっかけは、今回のレコーディングに参加したカメラマンの市川君が手渡してくれた一本の DAT からで、3年ほど前のことだった。それは95年暮れの新宿ピットインでのライヴ録音で、ピアノは南博。黒っぽいフィーリングとネイティブの発音にまず驚いた。テープの半分は天性の藝人とも言える関西人ならではの軽妙な語りで占められていた。生で聞いてみたいという思いがかなったのは一昨年夏の「第1回八ヶ岳 J.F.」 流石「ピットイン」で鳴らした龍野くん(通称カイブツ君)の企画とあってこの上ない内容だったが、中でも圧倒されたのが智恵さんの歌、特にそのスキャットには信じがたいほどのすごさがあった。なにしろ僕の生演奏の初体験が大学時代にもぐり込んで聞いた黒人兵達の「ビーバップとスキャット」だっただけに、身についた彼女の唱法にすっかり感嘆させられたのだ。それからは機会ある毎に追っかけては聴き、ついには名古屋のコンサートに招いたり、ライブハウスのオーナーに出演を頼み込んだりというおつき合いが始まった。あれは「JAZZ INN LOVELY」に弾き語りででた時のこと。立ち寄った渡辺貞夫が僕を見つけて隣にやって来た。挨拶もそこそこに宿に帰るのを引き止めると、やがてその表情は真剣になった。そしてささやいたのは「あの人は本当に日本人ですか」という言葉だった。

智恵さんの「なんとかもう一枚の CD を」という控えめな申し出に僕の仲間も大賛成。結局僕の役割は、メンバーを考え声をかけることだけだった。あっという間に実現したレコーディングの日々が、とてつもなく充実し感動に胸震わすた毎日だったのは、ミュージシャンとスタッフの心が一つになったからに違いない。

スタジオでの三日間の後に二夜にわたった熱狂のライブを終えて神戸に帰る智恵さんが僕に残してくれたのは、こんな置き手紙だった

『ほんとうに楽しく素晴らしい一週間でした。生きる気力がいっぱいです。すべてゆめのようで今だにゆめごこちです。でもこれは現実ですね。いっしょうけんめいにうたいます。意味のある人生をいただきありがとうございます。これからです!! We Love You!』

1998年4月22日 内田修 (OSAMU UCHIDA)

ライナーノーツより

綾戸智恵1stアルバム「For All We Know」(Re- Master) 2020.05.29よりストリーミング・スタート!

スイングビートが気持ちいい「Only Have Eyes For You」、ゴスペル・タッチで聞かせる「明日に架ける橋」、「Oleo」でのスリルあふれるスキャットなど、JAZZ界のみならず世間に旋風を巻き起こした綾戸智恵のデビューアルバムが最新マスタリングで鮮やかに蘇りました!各ストリーミング配信サイトでお楽しみいただけます。主なサービスのリンクを張っておきます。是非ともお楽しみ下さい。

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