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わが母の記

by 綾戸智恵

「わが母の記」という映画、コメントを書いてという仕事きっかけで見ました。監督は大好きな原田眞人さん。認知症の母親と息子の関係を描いたこの映画には私の母も認知症だから仕事の枠を超えて見入ってしもた。

断捨離という言葉があるけど色々解釈あるよね。“シャリ”というサウンドが仏語に感じたけど漢字で見てあっ、ちゃうわ。生前・老前整理と呼ぶこともある。最近はミニマリスト?って言うの?いゃ〜、似てるようで少しずつ意味は違うらしい。あー難しいぃ〜。

私も3年ほど前からいらんもんを少しずつ処分してたんです。そしてらびっくり、引き出しから50着を超える着物(和服)が出てきた。気がつかんくらい放ってあったものやから一目であかんとわかるものもあったけど、さてどーしょ。

親しくしてる三越和服売り場の担当の方に相談して、いわゆる目利きに方に来てもらった。目利きと一枚一枚見ているうちに“あっ、参観日着てた”、“十三詣りを宝塚見に行った時や”母が着ていた姿が思い出された。そして最後の一着になった時に言われた。

これにはまだ“しつけ”が付いてますね、お召しになって無いんでしょう。でもところどころカビがあるからこれは少し(保管が)難しいですよ。いい黒留袖です。手描きで金駒刺繍で.......。

心が締め付けられた。私は17歳で渡米し、そこで勝手に結婚。式も挙げずニューヨークのシティーホールでサインだけ。だから40年近く前に母がこんなものを作っていた事、想像もしなかった。親の心子知らずとは言うが、母は晴れ着や留袖を作ったとは私に一切言わなかった。

最初にこの映画を見た時、樹木希林さん演じる母と子供、孫の関わりが頭では理解できても、ズンとここまではわかっていなかった。あの時、母は何を思いどう生きようと思っていたのか。映画は見た時すぐに受ける影響や感動もあるけど、後からでも私に助言や確認をくれる。映画を見たから今隣にいる母を神々しく感じたり弱々しく感じたりするのかも。やっぱ映画大好きです。映画の中で「最近の兄さん、お父さんにそっくり」と言われ少しふて草顔の役所広司さん、私もよく最近言われる。いくら似ていても母の心まではなかなかわからないけど、思い出と記憶の中に答えはある。

私にとって断捨離の定義が変わった。


綾戸智恵
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