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旅立ちの時

by 綾戸智恵

リバー・フェニックスと言ったらスタンド・バイ・ミーなんかなあ。インディージョーンズ(最後の聖戦)も良かったけどわたし的にはやっぱりこれかなあ。ジェームス・ディーン亡き後はこのリバー・フェニックス。とにかくええ。

旅立ちの時(1988年公開)

監督:シドニー・ルメット、製作:エイミー・ロビンソン、グリフィン・ダン、原作:ナオミ・フォナー、脚本:ナオミ・フォナー、撮影:ジェリー・フィッシャー、音楽:トニー・モットーラ、出演:リヴァー・フェニックス、クリスティーン・ラーチ、マーサ・プリンプトン、ジャド・ハーシュ、アリス・ドラモンド

子供は親の子、当たり前や。いやそのなんというかそこの子として生まれるとそこの子として育つ。上手く言えないなあ。実はリバー・フェニックスが演じたこの麗しいダニーという青年の両親は60年代に反戦運動家で兵器工場の爆破犯。FBIから指名手配されている。せやから引越引越の連続、名前もその度に偽名をつけ直す。足跡を残せないから過去(経歴)がない。そんな親にピッタリと寄り添ってまるで親のストラップ人形のようにダニーは育ったんや。そんなやけど家族はとにかく仲良しや。けど子供はストラップやなく人間や。成長する。いつまでも親にひっついていられへん。転校先の音楽の先生に才能を認められ心の何処かでピアニストになりたいという気持ちが芽生える。すすめられた音楽大学に進学したくなる。そう将来、未来ですよ。それとガールフレンドや。青年が恋に目覚めることも当たり前。このあたりから映画の本質が見えてくる。ダニーの夢と恋、もちろんそれは成長の表れ、いつまでも親と同じではない新しい未来、人生。それを得るためには何かを失わなければならない。新たな何かを得るために今まであった大切なものを失う喪失感。これは誰にでもあることちゃうかなあ。逃亡者生活が長かったダニーは(生まれついての逃亡者やもん)せっかく好きになった女の子に自分のことを伝えられない。せっかく仲良くなった彼女とそんなで距離が出来てしまう。一瞬失意するダニー、でも彼女に自分を理解してもらうため意を決し、それは本気で好きになったからや、親のこと、自分の置かれた立場を告白する。泣きながら心を開くダニー。彼女はそんなダニーを受け入れる。切ない。リバーはもったいなく若くして死んでしまったけど、この映画で100年分生きたのかも。

彼女を家族に紹介した母親の誕生パーティーにジェイムス・テイラーの「Fire &
Rain」に合わせてみんなが踊るシーンがある。飾らない楽しく幸せなパーティーにピッタリの軽快なJTの曲(ジェイムス・テイラーといえばやっぱりこの曲やなあ)やけど、この歌詞はかなり神妙でアメリカの痛みの部分とでも言おうかそういうところを歌っている。精神的にギリギリで薬などに堕ちていった人、孤独、恐怖、楽しい日々は続かない、どうかわたしを立ち直らせて、炎も雨も人生で見てきた。でももう一度あなたに会いたいなどと切なすぎる歌詞や。だからかな、楽しく笑い、踊るシーンなのに悲しさが倍化してこみ上げてきてしまう。

この映画で両親を自分の政治運動、犯した罪で逃げ回って子供を道連れにしてる最低な親やと思う人もいるかもしれんけど普通じゃない家族もある。いろいろあるんや。そしてどんな環境の中でも子供はそれを背負ってその家の子として成長する、それしか出来ないんや。背負った宿命や。でもその過程の中で家族は親も子も共に成長していくんやと思う。子は親のいいとこ嫌なとこいろんなことを見ながら、大人になる。そんな子供を見守りながら受け入れながら親も成長するんやないかな。親だって未熟なところはあるし、大人だからって完成しているわけやない。

親として家族を守るためにベストを尽くしている中、進学に反対していた母親も父親もダニーの成長を見て別れを覚悟する。子供の成長を見て親も成長したんや。最後、昔の仲間が警察の逮捕に抵抗して殺されたことを知る。そこでいつになるか分からん、どんな形になるかは分からんけどいつかは自分たちも別れることを悟った、受け入れたんやろうな。最後まで家族が一緒にいることが大切と主張した父親が決心し家族はダニーを置いて次の地へ旅立つ。いつの日になるかわからん再会を約束して。そうやって最後まで見ると誕生パーティーでのダンスシーンで楽しいのに何かこちらには楽しさが伝わらなかったことの理由がわかる。彼女を迎え入れた楽しいパーティーは何かを得るためには何かを失う、未来のために失うもの、この場合は家族との別れを暗示していたからでは無いだろうか。そう思うと、もう一度見てみたい。ラストシーンの感じ方もまた変わるはずや。

P.S.冒頭でダニーが髪の毛を染めるためにシャンプーするシーン(変装せんとあかんのや)、髪をファ~と掻き上げるあのシーン、18歳とはいえ凄い。きゃ~ではなくドキーと固まってしまう。切なさ100%である。少年が青年になり、そして親離れしてしまうことを暗示させるシーンだ。わたしは母親なのでとにかくこのシーンに涙がでる。リバーははまり役です。そのリバーとわたし、関係なくもないんです。え?まさか?!実は弟のホアキン・フェニックスとええ感じでトークしたことがあるんですよ。楽しい時間やった-。それにしても似てない。でも生きてるもん勝ちというか美人薄命の男版?いや、そんなこというたらあかん。

今回のAlbumで初対面。ギターの伊平(友樹)くん。歌コンからSHINeeまで幅広いあんちゃんなんやて。

綾戸智恵
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